はじめに読んでください
2030 / 12 / 17 ( Tue ) こんにちは。はじめまして。
甲(きのえ)といいます。 少しでも楽しんでいただけると幸いです。 現在連載中:ゆみとミズチ 完結:聖女ミスリア巡礼紀行、きみの黒土に沃ぐ赤 「目次」カテゴリからそれぞれの作品の目次ページに飛べます。 ******* 代表作(?)「聖女ミスリア巡礼紀行」について。 アクションやら化け物やら組織やらいろいろ出ますが、元は単なる「旅する男女」を書きたくて練った話です。なお、多少の残虐非道な行為・発言または性的描写は含むかもしれませんので、15歳未満の方は閲覧を遠慮してください。 作品内に主張される信念や思想は私の脳から出たものであってもすべてを私が支持しているわけではありません。あくまでフィクションです。 ******* 初めていらっしゃるお客様はまず本編は長いので最初はブログよりも投稿サイト(小説家になろう、カクヨムでも同タイトル同名義で掲載しています)で見た方が読みやすいと思います。ブログで読む方は下の目次記事へどうぞ。 どの記事も大体5分以内で読めるでしょう。 感想はコメント・拍手でも何でもどんと来いです お待ちしてます(・∀・) ではよろしくお願いします! ←検索サイト・ランキングに参加してます。よかったら押してください |
聖女ミスリア巡礼紀行 目次
2030 / 12 / 17 ( Tue ) 混沌に満ちた架空の大陸を舞台にした長編ダーク・ハイファンタジーです。
[読み返しガイド]
おまけ・番外編
|
ゆみとミズチ
2029 / 02 / 15 ( Thu ) タイトルからおわかりかと思いますが、爬虫類要素を含みます。 苦手な方はごめんなさい。 「なくなよ。おいらが、ゆみをまもるから」 どこかで聞いたようなベタな約束を果たしに来たのは、自らを「みずち」だと言い張る謎の少年。 「きみはいつまで居座る気なの」 「ゆみが死ぬまでかなー。だってほっとけねーし」 「……それって、すごく長くない?」 どこにでもいそうな独身OLと、人間の姿かたちを真似た化け物の、【非】日常ファンタジー……? 第一章:みずちという子
|
きみの黒土に沃ぐ赤
2029 / 02 / 13 ( Tue ) (きみのくろつちにそそぐあか)
あとがき 今夜、夫となる男と初めて顔を合わせる。 明後日、結婚式を挙げる。 そのはずだったが、物事は予定通りに進まず―― 波乱に立ち向かうか、安寧に逃げ戻るか。 選択の刻が迫る。 零、きみと求める自由 a b 一、ラピスマトリクスの涙 a b c d e f 二、咲かせる花 a b c d e f g h 三、危険な夜 a b c d e f g h i j 四、予定がない午前 a b c d e f g h 五、約束をつなぐ午後 a b c d e f 五と六の合間 abc 六、決断を迫られ ab c d e f g 七、善意のかがやき a b c d e f g h 八、整理と采配 a b c d e f g h 九、とんぼ返り a b c d e f g 十、渦に呑まれるなかれ a b c d e f g h i j k l m 終、きみと駆けはしる行方 a b c d e f 人物紹介 【これは聖女ミスリア巡礼紀行と世界観が繋がってますが、独立して読める恋愛ファンタジーです。流血沙汰や狂気、死などのダーク要素が出ますので苦手な方はご注意ください】 |
しるべの約束
2028 / 12 / 17 ( Sun ) |
2. a.
2025 / 12 / 20 ( Sat ) 親の傀儡として生きてきたシェリーには理想の紳士像がなく、リクターという男からの優しさへの期待値も高く抱いていなかったので、古びたソファで一晩を過ごした事実に対しても悪感情がなかった。別の誰かだったならば家主の態度に「女性への気遣いが足りない!」のように憤慨したかもしれないが、押しかけたのは自分の方であることを自覚しているシェリーは、そんな厚かましい考えは持ち合わせていなかった。 異性と交際した経験、ゼロ。結婚相手はいずれ母が探してくる予定だった。男女間の事情に関する知識はフィクションや、人づてに聞いたエピソードの領域を出ない。 寝ぼけ眼をこすりながら、思い切ったことをしたものだ、と遅れて自省した。 ここに来て何がしたかったのだろう。昔の知り合いに会ってどうなるというものでもないのに。ただ、底なしの虚しさを紛らわせたかったという点では、成功したかもしれない。 コーヒーの香りが漂っている。そこでハッとなる。 慌てて腕時計を確認すると、もう時刻は昼過ぎだった。シェリーはソファから跳ね起きた。 ここから見て、左手にキッチンスペースがある。そして、キッチンカウンターに寄りかかってマグカップに口をつけている長身の男の姿があった。襟の高い灰色のセーターを着て、濃い茶色の髪は昨晩と同じく首の後ろで一つに結んでいる。そこからほどけた髪がひと房、緩く波を打って肩にかかっていた。 目が合うと開口一番にリクターはこう言った。 「眠れなかったか」 片手でカップを持ったまま、空いた方の手で目の下を指差している。シェリーは自分の目の下にそっと触れた。腫れている感触があった。 「寝たり覚めたりだね。お母さんが亡くなってからずっとこんな感じだから。ここがダメだとか、そういうことじゃないよ」 「眠剤は」 「処方してもらってない……だって、こわい、よ。相談できるお医者さん、いないし」 誰かに診てもらおうという発想が湧かなかったのも一因だが、改めて考えると、睡眠薬は恐ろしかった。それで誤って永眠してしまった俳優のニュースが、最近報道されたばかりだ。 まあそうだな、とリクターはなんともなさそうに話題を流した。ずず、と飲み物を啜る音がした。 「おまえ、コーヒー飲むひと?」 「飲むよ」 「いる? いるならもう一杯淹れる」 「じゃあ、いただきます」 おう、と短い返事で請け負って、男はくるりと背を向けた。豆から挽いてお湯で淹れるつもりらしい。一杯が出来上がるまでに数分かかったので、その間にシェリーは廊下のトイレへ着替えと顔を洗いに行った。 洗面台には歯ブラシが置かれていない。相変わらず、他の家族の住んでいる様子がない。 (昔、この家に入ったことあったっけ。なかったかな) だいたい少年の方から会いに来てくれたのである。うろ覚えだが、彼には父母と姉が居たはず。なのに今は一人で暮らしているとしか思えなかった。 ダイニングテーブルすら置いていない。食事はテレビの前のコーヒーテーブルとソファにて済ませているのではないかと疑うくらいだ。或いは、寝室か。 戻ると、リクターはカウンターの上に新聞を広げて読んでいた。いつの間にか長方形フレームの眼鏡をかけている。記憶の中の姿よりも日焼けしているな、となんとなく思った。 カウンターの上にマグカップを滑らせる形で、すいとコーヒーを差し出された。向かい合って立っているのが少し気まずくて、横にずれた。 「ありがとう」 「ブラックでよかったか」 「あるなら、砂糖はほしいかな」 ほれ、と今度は小さなスプーンの入った瓶を差し出された。二度すくって、カップに入れる。 新聞がめくれる音がする。 「今日予定ないなら、出かけるか」 「え?」 顔を上げたら目が合った。影がかかっているからか、リクターの双眸は今は青茶というべき色に近い。 シェリーは首を傾げた。出会った(正確には再会した)翌日の人間に共に出かける誘いをしてくるのに、驚いたのである。 次に続いた言葉を聞いて、腑に落ちた。 |
1. c.
2025 / 12 / 19 ( Fri ) すると後頭部に感じていた嫌な圧力がなくなった。足音がしたかと思えば、今度は電気がついた。 目を片手で覆って振り返る。 「おまえ、シェリーじゃねえか」 「おぼえててくれたの」 ゆっくりと手をどけて、シェリーは明かりに慣れるまで目を瞬かせた。 「オレは物覚えはいい方だ」 得意げに言ったのは、すらりと背の高い長髪の男だった。髪を首の後ろで束ねていて、長いトレンチコートが様になっていた。 今年で二十七歳のはずだ。眉と目元の力強い印象は記憶の中と変わらない。直線的でスッと通る鼻梁に、角ばった頬と顎も。 肩辺りに少し雪が積もっているのが気になった。もう深夜一時を回っているのが、棚の上の時計からも明らかなのに。 「あなたは、変わったかも」 「最後に会ったの何年前だと思ってんだ。そりゃ変わるわ」 「十年とか十二年……?」 はあ、と男は長いため息をついた。そして慣れた手つきで拳銃を大きなショルダーバッグにしまった。それでようやく、場に満ちていた緊張感が空に弾けた。 この男こそ、記憶の中の近所の少年に相違ない。髪型と声音が変わっていても、はっきりと面影があった。 苗字はリクター。ドイツ系の移民の子孫なものの、代を経て「リヒター」ではなく英語読みをしているらしい。ちなみにファーストネームは知らない。好きじゃないからと、本人が頑なに教えてくれなかった。 「で。その荷物、なに」 リクターの視線は、シェリーの足元にある大きなボストンバッグに流れた。 「えっと、ちょっと泊めてもらえないかな、って」 「なんで」 男が単刀直入に訊いた。 シェリーは、己の身の上に起きたことを掻い摘んで語った。母の死後、寂しくて気が狂いそうになっていたこと、途方に暮れたこと。子供の頃の約束を思い返していた点は、なんとなく省いた。 いつしか、リクターはコートを脱いでソファでくつろいでいた。間に開いた人ひとり分の距離が、十年とちょっとの心の距離感をも表しているようだった。 話しながらもシェリーは辺りに目をやっていた。タバコの煙が気まぐれそうに宙を舞う。 ほどほどに片付いている部屋だ。あまり頻繁に掃除していないのだろう、埃っぽさはあったが、隅に積まれた雑誌を除いて、余計なものは置かれていない印象だ。リビングと台所の空間が繋がっている設計だった。 話がひと段落すると、シェリーは横を盗み見た。 ガラス製の灰皿にタバコの先を押し当てる指は、やや骨ばっていて、長い。 「ま、いんじゃねえの。とりあえず今日のところはそこで寝てもらうか」 そこ、と言って彼はソファを差していた。ベッドルームが二つあっても片方は物置きになっているという。 「い、いいの。迷惑じゃない?」 話があっさりと進みすぎて、思わず訊き返した。そういえば彼が当時と同じコンドミニアムに住んでいる時点で驚いたが、他の家族の痕跡が無いのも気になった。 「迷惑かけないんなら迷惑じゃねえよ」 なんとも、答えになっていない答えだった。 「ほぼ他人だよ。信用されなくても仕方ないものと」 「おう。寝首かかれないように気を付ける」 男はわざとらしく欠伸をした。 「ありがとう」 「ご愁傷様。そうか、あの母親ついにいったか。よかったな、つうのもなんか違うか。腐っても肉親だしな」 「…………うん」 肉親と言った時の声は、どこか皮肉そうに聴こえた。 「気が済むまでいれば。予備の毛布、テーブルの下な。共用のトイレは廊下。風呂設備はマスターベッドルームの中にしかないから、シャワー浴びたくなったら言え」 踏み入った質問を重ねずに、リクターは席を立った。 その夜、シェリーは年季の入ってそうな冷蔵庫の音を聞きながら、浅い眠りについた。 (私はお母さんの敷いたレールの上を走るだけでよかったのに) 完全に自分の意思で行動をしたのが久しぶりに思えて、気持ちが落ち着かない。近くから人の気配がするのも、それが成人男性のものであるのも、慣れない。 冬に触れる頃の、とある金曜日のことだった。 |
1. b.
2025 / 12 / 18 ( Thu ) ――あんま洗脳されんなよ。いまはそれでもいいかもしんねえけど、大人になったらめんどくせえことになるぞ。 何度目かの目覚めの時に、頭の中に少年の声がした。ついに幻聴が聴こえるようになったのか。ゆっくりと頭を振る。 なんとか立ち上がり、コップに水道水を注いで飲み干してからも、その声はまだ意識の端に残っていた。 かつてそう言ってくれたのは誰だったか。ぶっきらぼうに、しかしどこか心配そうに。 (小さい頃よく遊んだ近所の子だ) 両親の離婚後、よりよい学区に入るためという名目でシェリーは隣町に引っ越したが、それまでは二年くらい、毎日のように顔を合わせた男の子がいた。 品格を落とすような友達付き合いはやめなさい。母からは口うるさく叱られたものだった。それでも隠れて会うのをやめられなかった。 口が悪くて時々乱暴で、なのに面倒見のいい少年だった。シェリーより二つ年上だったから、宿題を手伝ってくれたこともあった。もちろん、母には内緒で。 (あの子は窓から入ってきてたっけ。二階だったのによく怪我しなかったよね) 思い出を辿るうちに懐かしくなり、心の内側にポッと暖かさが灯った気がした。 ずっと、AからZまで母が決めてくれた。疑念を抱かなかったわけではないが、優秀で素敵な彼女を尊敬もしていたから、言うとおりにしていればいいんだと、無理やり自分を納得させてきた。 そんなシェリーでも、その少年に関してだけは、最後まで従わなかった。 母が厳選した「友人」とうわべだけの付き合いをしていたばかりの人生において、唯一、自分の意志ではっきりと「友達」と胸を張って言える人物。日々の生活に追われているとたまにしか思い出してやれないが、それでも、好きだった気持ちは残っている。 短く刈り上げられた茶髪に、少し痩せ気味の体躯。青と緑の中間のような瞳は確か吊り上がっていた。 まだ、彼はあの町にいるだろうか。 引っ越した時、シェリーは自身の新住所を伝えることが叶わなかった。それがずっと、心残りだった。 次いで少年の家族を思い出して、シェリーは顔を曇らせた。 そうだった。酒浸しで暴力的な父親とネグレクト気味の母親から逃げていたのだ、彼は。満足な食事をしていなかったから、シェリーはふたりの時間によくお菓子を分け与えていた。 そして―― 会わなくなる前に交わした約束を、あの子はおぼえているだろうか。 ――おまえ、引っ越すんか。つまんね。あーあ、クソみてえな毎日に逆戻りだな。いっそ、死んじまうか。 少年は真夏でも長袖長ズボンだった。横腹をさすりながら、苦々しい表情をしていた。 ――そんなこと言わないで。きみがいなくなったら、私、悲しいよ。すっごくすっごく悲しい。約束して。ひとりでいなくならないで、おねがい……死にたくなったら、会いにきて。 当時のシェリーは、死を決した人間を自分なら引き留められるとか、命を大事にしてほしいとか、そんな大それたことはもちろん考えていなかった。純粋に悲しかった。その子に害が及ぶのも、彼が生きるのを諦めたくなっているのも。 ――わかったよ。わかったから、泣くな。あと急に抱き着くんじゃねえ。暑いんだよ。 ――ほんと? 約束? ぜったい、会いに来る? ――約束する。だから、おまえもだ。おまえもいつか、死にたくなるようなことがあっても、ひとりで勝手に消えるんじゃねえぞ。 * カチッ。 規則的に時刻を刻んでいた時計の音が、妙に大きく、耳に届いた。それでも母とふたりで生活していたアパートにあった時計よりも、控えめな音だった。 鮮明になりつつある頭で、シェリーは状況を改めて理解した。 とにかく弁明しなくては。 「ご、ごめんなさい。外で待とうと思ってたんだけど、あんまり寒くて、つい」 「不法侵入を謝ってどうすん……あ?」 男は何かに気付いたように黙り込んだ。 |
1. a.
2025 / 12 / 17 ( Wed ) 慣れない場所で目を覚ました。 寝心地からしてここはベッドの上ではない。タバコと、男物の香水の残り香がする。どれも普段の生活の中では嗅ぐことのない匂いだった。 上体を起こしたら、手のひらに何か薄っぺらいものがついた。よほど古いソファなのだろう、ちょっとした拍子で表面が剥がれてしまったようだ。 (私、どうしたんだっけ) 薄暗い。 目前にコーヒーテーブル、その向こうには小型テレビのシルエットが見えた。電化製品が発しているであろう振動音を除いて、辺りは静かだったが――足音。 背後から人の気配が近づいている。 「動くな」 ガチャリ。 実物を見たことはなくても、映画やテレビで聞き知っている音。冷たく、無機質な感触が後頭部に触れる。 銃口だ。 「空き巣で寝落ちって、ふざけてんな」 抑え込まれたような怒気と警戒。男の掠れ気味の低い声に、全身がすくんだ。 動くなと言われているのに、震えながら言い訳した。 「違うの、私は、その……えっと、鍵が開いてて」 「あぁ? 鍵がかかってなきゃ何してもいいのかよ」 ごりっと、鉄の擦る感触が頭蓋骨に伝わった。 「ごめんなさい」 どうしてこんなことに――思考は数時間前までさかのぼる。 * 母が過労死した。 その事実に対して胸が張り裂けそうな悲しみが確かにあるのに、紛れもない安堵と解放感を覚える自分に、嫌気がさした。 (お母さん、私はどうしたら) 先々週までふたりで暮らしていたアパートの中で、シェリーはひとり身震いした。空調をつけるのがなんとなく気が引けて、ウール製ブランケットに包まりながら、何をするでもなく膝を抱えて悶々と過ごしていた。 ちっ、ちっ。壁の時計は午後九時を回っていた。すっかり夜なのだから暗くしなきゃ――義務感でリビング中の明かりを落とす。カーテンも閉めた。窓の外からのぞく世界は都会らしく、まだまだ行き交う車のヘッドライトや営業中のビルの明かりに彩られていた。 完全に暗くするとどうしようもなく寂しくなって、眠れない。だから明かりはひとつふたつ、残しておく。 もう何日もまともに寝れていない。寝室に行くには母の部屋の前を通らなければいけないので、それが嫌で、夜な夜なソファで横になっていた。値の張るソファクッションの寝心地自体は悪くないが、頭の中は黒い靄がかかったように重い。 シェリー・ハリスには、十年以上前から、母しかいなかった。大学教授だった父と法律家だった母はとうの昔に別れていて、そこからシェリーは女手一つで育てられたのである。 息苦しい人生だった。 お金ならあった。なかったのは、自由だ。行動の自由、選択の自由、そういった普通の人間が持っているはずのもろもろを、母は残らず奪ったのである。そうとわかっていながら、長年抗うことができずにいた。 だが母がいなくなったらなったで、どうやって生きればいいのかわからなくなってしまった。 (どうしよう) 仕事はしばらく休みをもらっている。司法試験に受かるまではここで経験を積むようにと母のコネクションで始めさせられた仕事なので、迷惑をかけているという申し訳なさはあっても、戻りたいという意欲はあまりなかった。 (アパートだって……) 遺品整理をせねばならないが、親族は手伝ってくれそうにない。もとから叔父や叔母とは疎遠気味で、彼らは葬式に顔を出した後はさっさとそれぞれの住む州へ帰ってしまった。 首都の中心部に高層ビルの部屋を借りられたのは弁護士だった母の収入があってこそできたことだ。法律事務所勤めとはいえ助手でしかない自分の給金と、保険金でこのまま住み続けていいものか、シェリーにはわからなかった。 精神衛生的にも出ていきたい気持ちはあった。住む地域を選んだのは母だし、内装も全部母の趣味だ。亡霊にまとわりつかれているようで気分が悪い。だからといって遺されたものを全部捨てるのは、亡くなったばかりの家族への無礼にも思えた。 いくら考えても答えは出なかった。やる気も出なかった。 質の悪い睡眠を繰り返し、目を覚ます度に時計を見やった。まだだ、まだ朝が来ない。 永遠のように続く虚脱感。なにも、何もしたくない。手足を動かすのも億劫だった。 お久しぶりです。皆様お元気でしたか。 たぶん毎日更新します。 ふんいき2000年代のアメリカ中西部のどこかの都市、携帯電話が普及する前後。 途中でR18がひょろっと入るのでその話には注意書きを入れます。(読んでも読まなくてもストーリーの流れは伝わる、はず |
ずっと休眠していたけど
2025 / 11 / 21 ( Fri ) 一話:完成 4900
二話:完成 9600 三話:完成 10300 四話:完成 11100 五話:完成 11600 六話:完成 5200 七話:完成 11100 八話:まもなく完成 7300字程度 最終話:メモ段階 500字程度 忘れていたわけではないよ! (最後にブログ記事打ったのが6月とは、あまりにひどい) これって最終的に7万字くらいになるのかしら? 最近ずっとゲームが楽しいです。全人類Brotatoをやろうぜ。 都市伝説解体センターも楽しい。 |
読み上げで遊んでいる話
2025 / 09 / 25 ( Thu ) |
おらおらおら
2025 / 06 / 17 ( Tue ) 一話:完成 4900
二話:完成 9600 三話:完成 10300 四話:完成 11100 五話:完成 11600 六話:完成 5200 七話:完成 11100字 八話:5600字程度 最終話を書きながら細かい調整をしているところですね。 ここしばらくインプットに専念していたおかげか、書くことへのモチベが高いです。わっしょい。 |
いいのかこれで、これでいいのか
2025 / 04 / 23 ( Wed ) 一話:完成 4900
二話:完成 9600 三話:完成 10300 四話:完成 11100 五話:完成 11600 六話:完成 5200 七話:完成 10850字 八話:書き出し 1000字程度 最終話(予定)に入ったよ。大丈夫……か? まあ終わったら寝かせて頭から読み返すから! |
はっぴーばーすでーとぅーみー
2025 / 04 / 07 ( Mon ) 一話:完成 4900
二話:完成 9600 三話:完成 10300 四話:完成 11100 五話:完成 11600 六話:完成 5200 七話:ほぼ完成 7000字 八話:メモ書き 1000字程度 そんなこんなでもうすぐ本編終わりです。頑張ったなぁ…… 旅行中で執筆時間はとれなそうなので帰ってからが本番になりそうです。わっしょい |
まさか自分にこんな
2025 / 03 / 26 ( Wed ) 一話:完成 4900
二話:完成 9600 三話:完成 10300 四話:完成 11100 五話:完成 11600 六話:完成 5200 七話:開始 2000字 八話:メモ書き 1000字程度 八話で完結……するのか? これとそれをひとつの話に詰め込もうと思ってたのに、話の方が勝手に区切りを作ってしまいました。 ちなみに子供たちを寝かしつけた後が執筆時間なのだけど、最近では熱やらなにやらで奴らが寝付く時間が遅れてしまっているので、諦観交じりにスマホから執筆したりしてます。まさか自分にこんな芸当ができるとは思っていなかったよ。 |


