拍手御礼ログ 01~05
2012 / 03 / 04 ( Sun ) 500HIT超えた…だと…∑(゜д゜)
終いには夢オチですね、わかります……じゃなくて、ありあとーんヾ(。◕∀◕)ノ♫♬ いつも遊びに来てくださって有難うございます(ノД`)・゜・。 今後も頑張って更新しますので見捨てないでください(ぁ 記念に拍手御礼を入れ替えました。 この下にログも置いていきますねー(・∀・) ! 続きを読む
01 生活習慣
神父アーヴォスを送り出した後、ミスリアは教会の中に戻ってゲズゥの姿を探した。いつも彼は信じられないくらい静かに過ごしているので簡単に気配を読み取らせてくれない。 風呂場にてやっと、見つけた。 ゲズゥは鏡台に向かい、薄くて細い刃物を顎に当てている。 「何をしてるんですか?」 異性の生活習慣に疎いミスリアは何気なく訊ねた。 「ひげそり」 刃物を台の上に置き、ゲズゥは顔を洗いに行った。 彼が髭を剃る場面に出くわしたのは初めてだった。といっても教団の男性は朝は身だしなみを整えてから宿舎を出るゆえ、男性が髭を剃ってるところなんてそもそも初めて見た気がする。 自分が決してやらないことをしているからか、何だか見ていて不思議な気分になる。 「道中もしていたんですか?」 「……生えるのが遅い。必要なかった」 その答えに――なるほど、先天的に髭が生えるのが遅いから今まで私も目についたことが無かったのかな――と、ミスリアは納得した。 02 転ぶ時は要注意 目に留まらないような石につまづいて、ミスリアは前へと盛大に転んだ。 「きゃあっ」 咄嗟に両手を出したので、何とか顔から草の中へ突っ込むのだけは免れた。サッと上体を起こし、地面に座り込んだ形になった。 「み、見てませんよね?」 ワンピースの後ろを手で覆い隠した。既に見られたとしたらまったく無意味な行動だが、やらずにはいられない。 「うん、大丈夫」 カイルがいつも通りの笑顔を浮かべたので、ミスリアは胸を撫で下ろした。 もしかしたら気を休めるためにそう言ってるのかもしれないけど、そうだとしてもその心遣いは受け取っておきたい。 「……白か。些か面白みに欠けるな」 少し離れて二人の後ろを歩いていたゲズゥが淡々と述べた感想に、カイルが噴き出した。 「面白みって……十四歳の聖女のパンツに君は何を求めてるんだい。まぁ、何歳だろうと教団の規定は白だったはずだ。地味でしょうがないよ」 つまり他を知らないというか習慣なんだろう、とも暗に言っているようだった。実際にそうなのだけど。 ミスリアは頬がみるみる熱くなるのを感じた。二人ともひどい。 「やっぱり見たんじゃないですか!」 男性陣が押し黙る。 歩きやすさを重視して、膝丈のワンピースにしたのが間違いだった。聖女のあの白い制服なら、転んでも容易に見られないような長さなのに。 (もうちょっとかわいい下着に挑戦――じゃなくて、二度と短いスカートなんてはかないっ!) ミスリアは心の中で固く誓った。 03 食べられるモノなら何でも
草の上に寝転び、木陰にて涼んでいた午後だった。
頬杖ついて、どこともなく目線を泳がせていた。が、ふいに何か黒いものが視界を過ぎった。考えうる可能性としては虫や小動物が妥当だろう。
ゲズゥは大して気にせず、続けてぼーっとする。
まもなくして何かふわふわしたものがまつげをくすぐった。反射的に何度か瞬くと、すぐそこに前足を持ち上げて立つ黒いリスが現れた。尻尾が当たっていたらしい。
それは野生の黒リスにしては肥えた個体だった。本来の小柄な体格ではなく、まったく食うに困らない生活の気配を漂わせる。教会の中庭のパティオに設置された、鳥の餌でも横取りしているのか。
人間に近づくことに恐れを抱かない、よく太ったリス。真っ先に思い当たることといえば「焼けば美味そうだな」という予想だった。
黒リスはつぶらな瞳を光らせ、食べ物をねだるように頭を何度か上下させている。一度前足を下ろして二歩進み、期待に満ちた様子でまた後ろ足立ちになった。
しかしゲズゥの頭の中ではリスを可愛がってやろうなどという気持ちよりも捕まえて腹の足しにしようという思考の方が強い。彼は少しだけ上体を起こした。
ガラス張りの戸がガラッと開けられた。
「こら、クレパチオ。こっちにおいでなさい」
建物の中から、黒い服を着た四十路の男が出てきた。
呼ばれて黒リスはすぐに反応した。素早く走り寄ってはピーナッツのようなものを司祭の手のひらから食べさせてもらっている。なるほど、餌付けされているから人懐っこいのだろう。
捕まえる気が失せたので、ゲズゥは寝返りを打った。
「…………残念だな」
「何がですか?」
司祭は不思議そうに訊ねる。
04 当然のように知っている 聖堂の掃除を手伝っていたら、ベンチの下に何かメモのようなものが落ちているのを見つけた。ミスリアはかかんでそれを拾い、目を通した。殴り書きなのでいまいち読めないけれど、ミョレンの国語で書かれているのはわかる。
(もしかしたら、誰かに取って重要なノートだったりするのかしら?)
ミスリアは首を傾げた。残念ながら、ミョレン国の言葉は理解できない。カイルか神父アーヴォスに読んでもらうしかないだろう。
とはいえ、よく見れば文字自体は南の共通語と似通っていた。南の共通語は表記文字や音節文字ではなく、アルファベットを用いる。もしも文字体系が同じならば、意味がわからなくとも、声に出すことぐらいは出来る――はずだった。
試しに声に出して読んでみた。慣れない音の組み合わせばかりだった。
(聴いた事ある言葉が一個も無いわ……)
肩を落としかけ、メモを置いて掃除に戻ろうとした時。それまで静かにベンチに横になっていたゲズゥが、口をあけた。
「最初のが『クソ親父。オレの休みを返せ』」
「え?」
「返事を書いた奴が――『親なんて死ねばいいよな。典礼とかクソつまんねー』」
「そ、そんなことが書いてあるんですか?」
驚いて、ミスリアは聞き返した。
「お前が今読み上げたのは、そんな具合だったと思うが」
「ミョレンの国語がわかるんですか?」
「……大して解らん。が、大体どこの国に行っても共通して最初に学ぶのは罵詈雑言の吐き方だ」
さもそれが世の常識であるかのように彼は断言した。
「あははは、否定はできないね」
いつの間にか入り口に、カイルが立っていた。
「今の訳は本当ですか?」
「うん。大体あってたと思うよ? 思春期っていうか反抗期の子が親に引きずられていやいや休日を返上したって愚痴を、友達に漏らしていたような」
カイルは明るく笑ってそう言うけれど、ミスリアは苦笑した。 05 這う彼ら
「わっ」
うねうねと動き回る太いピンク色のソレが間近に見えて、カイルサィートはうっかり手を放してしまった。手に持っていた雑草が、くっついていた土ごと落ちる。
しばらく地面の上でもがいてから、やがてソレは元居た場所に戻ろうと這い回る。
「どうかしたかい、カイル」
少し離れた位置にしゃがんでいる叔父がのんびり問いかけてきた。日よけのために帽子を被っている。
「えーと……ミミズ? が、出てきました、引っこ抜いた雑草の根辺りから」
園芸用の手袋についた土を払いながら答えた。今日の青期日の午後は、空いた時間を利用して叔父の庭弄りを手伝っている。
「うん、抜いた雑草にたくさん土がくっついていると、そういうこともあるね」
「あんなに長くて太いものだとは知りませんでしたよ」
「雨の日なら皆溺れないように土の中から地上へ出てくるよ。もっと大きいのも一杯見れる」
叔父が愉快そうに笑ってそう答える。
なんとなく雨の日の図を想像してみたら、微妙な気分になって顔を逸らした。
「ミミズは苦手かい?」
「そういうわけではありませんが」
さっきは驚いただけだった。
「見た目はともかく、土壌改良に重要な役割を担うんだよ」
「聞いた事あります。人間でいえば土を耕しているような働きで、養分も与えてくれるんですよね」
「そう。他にも薬になったり家畜や釣りの餌になったりと、人間にとって大事な生き物だよ。といっても、総ての生き物は他の何かに取って重要で、役割を持たない生き物なんてこの大陸の何処にも居ないのだけどね」
微笑む叔父に、カイルサィートは頷いた。その通りだと思う。
住処に戻る直前、ミミズが小鳥にくわえられた。鳥は数度口を開閉し、嘴より遥かに大きいミミズを喉の奥へと押し込めている。そのミミズには残念だが、世界の構造は実によくできているなぁ、とカイルサィートはふと思った。
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