行き場の無いネタ その2
2013 / 09 / 26 ( Thu ) ある時、気が付いたら洞窟にいた。 真っ暗闇、冷やりとした空気、足元には水溜り。「す、すげえ! どこだよここ! なあ久哉(ひさや)、これって巷で流行ってる異世界トリップとか言うやつじゃねーの!」 少年は隣の親友の肩を叩いて叫んだ。 声がこだまして返ってくるのを聴いて、ますます彼は興奮する。 「流行ってるって何だよ。まだそうと決め付けるには早い、拓真」 親友は怪訝そうに答えた。 「何でだよ? 気が付けば全然知らないとこに居たんだぜ? 異世界じゃないならタイムスリップ? 秘密結社のテレポート装置!?」 「だから発想がファンタジー過ぎるって。単に頭を打ってリアルな夢見てるかもしれないぜ」 「えー、二人同時に頭打って同じ夢見るのかよ? ありえなくね?」 「同時に何か幻覚見るような煙嗅いだとか、いくらでも可能性はある」 「夢の無いことばっかり言うなよ。まずは探検しようぜ!」 「待て、拓真」 久哉は浮き足立っている親友を、厳しい声で呼び止めた。 「思い出せ。俺たちはここに来る前何をしてたんだ?」 「何って……確か……同級生との賭けで、滝から飛び降りたよな、二人で」 「そら見ろ。死んだんだな、きっと。賭けは俺たちの負けだ」 「怖いこと言うな! 落ちる時にトリップしたんだよ! そうに決まってる!」 「百歩譲ってそうだとして、お前の好きな異世界物の漫画じゃあ、大抵の場合はトリップした直後に襲われてないか。迂闊にうろつくなよ」 「あ」 二人は黙って洞窟の中を見回した。正直、暗くて何も見えない。どこか遠くで水音がする。いかにもいきなり化け物が出てきそうな雰囲気だ。 「で、でもさ……襲われたら、もの○け姫みたいな美人で強い女の子が助けてくれたり……」 「確証も無いのに助けを期待するのはアウトだ。今度こそ死ぬ。ってことで、逃げるぞ!」 「ちょ、久哉! 逃げるって、何処に!?」 「なんか風が向こうから吹いてるっぽい。出口かも」 少年二人は己を待ち受ける運命に向かって、闇の中を走り出す――。 トイレに行った間にこんな超くだらないアイデア沸きました。ほら、最近異世界トリップもの流行ってますからね、私も書くとしたらどんな工夫ができるだろうかって考えちゃって。昔練ったやつとかは、全部どこかで聞いたような話ばかりで没ですね。 まあこの話もどこまでオリジナリティ出せるか不明。メイン二人がコメディ調で周りがどん底のシリアスだとか、そういうの書いてみたい気もしないではないんですが。この後たぶんマウンテンライオンに乗ったヒロインに二人が助けられて、その後久哉がヒロインに刺されて拓真がバーサーカーするとかそういう展開になるでしょう。 あーしかし楽しかったー。まったく新しい話書くのって最近無いだけに。 |
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