せっかくなので公開する
2017 / 12 / 27 ( Wed ) |
11月の読書まとめ
2017 / 12 / 25 ( Mon ) いまさらw 12月の方がたくさん読んでるのでまとめも充実すると思います。
11月の読書メーター 読んだ本の数:6 読んだページ数:1172 ナイス数:6 ![]() 小説の内容を復習するみたいに、後を追って一巻だけ読んでみた。絵はイメージ通りじゃないところもあったけど、慣れれば悪くない感じ。しかし文章ならすらすら入る内容も、漫画のセリフになるとちょっと目が滑るな… 読了日:11月25日 著者:烏山 英司 ![]() どかーんとやって終わりおったな…。この作者さんのスタイルとわかっているけど、こんなハイペースじゃなくてもよかったんじゃと思わずにいられない。最後になってあらゆるキャラに愛着が沸いてしまってつらい! でも相変わらず絵はめっちゃキレイです。総合★4ってところかな。 読了日:11月16日 著者:唐々煙 ![]() 北城さんと梶原さん◎ 今巻で二人の株が爆上げ。 破天荒を抑えるとこに曇天の天火を思い出させるねぇ… 読了日:11月15日 著者:唐々煙 ![]() 唐々煙さんが好きで(と、BWのプロモで0円だった)。もの悲しい世界でバタバタする主人公、二話辺りからどんどん好きになれた。続きも読む。 読了日:11月13日 著者:唐々煙 ![]() 「名探偵に薔薇を」に比べると派手さがない淡々と進む話だったが、ラスト20%でなかなかどうして、静かに開かれる謎が面白い面白い。ライトな作風、奇異なめぐり合わせ、愛憎の絡んだ事件、物語の終焉に射す希望……城平先生が漫画原作を担当した作品の数々を思わせ、とても楽しかった。文季はテンペストの吉野やスパイラルの歩に連なる、飄々としているが実は情を秘めた鈍くもかっこいい主人公だった。だがカエル様が一番イケメン。池上と河西けっこう気に入ってたのでもっと出番あってもよかった…。 読了日:11月06日 著者:城平 京 ![]() 大将ってそんなに昔からいるの? 代替わりするの? 謎だらけだけど蜘蛛と蝶の好感度グッとUP。退治屋が不憫で…。 読了日:11月01日 著者:マツリ 読書メーター |
駄文
2017 / 12 / 23 ( Sat ) 「そういえば私は明日、何も予定が入っていない。何かしたいことがあるか」
「んー、べたべたしたい。一日中構って」 「わかった。他には?」 「ないわ。それだけ」 「じゃあ明日はそれで行きますか」 「うん、おやすみ」 というバカップル会話が浮かんだんだ。 |
だからどうという
2017 / 12 / 21 ( Thu ) |
改稿の進捗
2017 / 12 / 15 ( Fri ) スタート:179504字、556枚
現在:154264字、467枚 あと67枚で規定枚数に収まるぞ!(゚∀゚)アヒャ 大変なのは明らかにこれからですがw ここを削ろうってつもりだったところはもうすでにやってしまっているので、段落とか文単位だったり、会話を短くしたり、言い回しを変えて一文字だけ次の行にオーバーしてるものを細めたりw ただし。 展開差し替えのところのスペースが必要…。 で、規定枚数に収まった後もまた数日寝かせて、通しで読まないと。整合性チェック。 こうして一から見直すと粗が出てくる出てくる。 それでも面白いと未だに思えるところはあるので、よしとします。 恋愛としてはやっぱり、メインカプの説得力? があるように思える。今となっては最初の頃のエランが面白いww あと、ディナーデートがイイ。誰がなんと言おうと、公募を一次審査で落ちようと、私はこの二人が好きだ(・∀・)! しかし来週から親が来るねん。年末までいるねん。 準備しなきゃ…/(^o^)\ |
恋愛感を振り返る
2017 / 12 / 13 ( Wed ) このツールをみーつんが使ってるのを見て:http://sscard.monokakitools.net/index.html
他にも使ってる人を見たことはあったんですがこれまで気にしてませんでした。 面白い…ぞ…!? 絵とか画像よりも本文で宣伝したいと思っていた私にはもってこいのコラボレーション。画像の方が目につきやすいし、ひとまとめに文も見てもらえるではないか! すごい。 さて、次回作は何で行こうかなと今色々練っている段階です。どこに弾けるか謎です。 そんな折にみつけたのが、2015年に回答した恋愛感バトンww みてくださいよこれ! ・ どんなカップリングに萌えますか?(例:鈍感女×キザ男 とか 人外♂×少女 とか?) タイプとか最近あんまり意識してないなぁ。多分、世の中に出回りすぎておなか一杯になったからかと。 ちなみに上の質問にも挙がった昔のヤツ:天然天才肌武道派王女xヘタレ軍人(実は頭脳明晰・有能) 人外♂と少女も、そういえば昔は好きだった…。「陽司」という名前の人間狼がゆかりちゃんというお嬢様と、同い年のぶっきらぼう少年として接していたり、白い毛に青い線の入った巨大狼として一緒に散歩していたり。いや、このシリーズは多方面から中二過ぎて世に出してはいけないんですけどね! そういえば上の身分とそうではない人のカップリングも好き(ミスリアの聖女x罪人みたいな)。王女x蛮族とか。平たく言えばギャップですね。次期教皇xスラムの娘 もありましたねそういえば。この辺の例は全部、脳内完結物語にありますw 恋に発展する政略結婚系、殺しあいたいくらい憎き敵同士がやがて分かり合う系も好きですよ、げっへへへへ… やっばい、2017年現在、ここに挙がってる組み合わせ結構果たしてるーw そういうわけで、順当にいって次は人外男x人間女ですね。少女じゃなくて社会人にしようか迷っています。その辺を考えつつ、連載を始めるとしても来年の春とかになるでしょうねぇ。どうでしょうねえ。まあのんびり構えるとしますよ。 |
きゃらふと
2017 / 12 / 12 ( Tue ) |
記憶力が
2017 / 12 / 08 ( Fri ) あーーー 昨日なんっか忘れてるなあと思ったら。
黒赤の全テキストファイルをサイトにうpるのを忘れていたよ…今晩こそ…! 完結してからまだ一週間ちょいか。来週にでもなれば、きっと改稿する気合が…出てるといいなw クリスマスは例によって親が泊まりに来るので、二週間ほどおもてなしするのだ。 あとは。 「御簾ごしの姫」、未読の方はぜひチェックしてくださいね。 お絵かきしたいものが脳内に潜んでいるのでそろそろ出してやりたいところですねー( ´艸`) |
もうすぐ6周年になりますが
2017 / 12 / 07 ( Thu ) いまさら? ブログをちょびっとリニューアル? しています。
とまあ、なんだかくっそ寒くなっているこの頃ですが、セーターを活躍できるのはいいことです。 明日までに「御簾ごしの姫」を完結させる予定です。やばいです。 メインの長編連載がなくなった分、前から抱えていたいろんな案に妄想時間を割くことができて、非常に楽しいですね。「たえよいつか」の続編とかな~。未完のまま10年は放置してきたOth-Dもなんとかしたいよなー。 もちろん藻と即興とミスリア世界の番外編も気が向くままに投下します。 今年も残りわずかですが、頑張っていきまっしょい! |
新作投稿
2017 / 12 / 05 ( Tue ) https://ncode.syosetu.com/n6901ek/
間があくかなと思ったけど案外そんなことはなく、気が付けばなんか書いてました。 全四話完結の予定です。謎恋愛。お付き合いいただけると幸いです。 |
拍手返信12-2
2017 / 12 / 03 ( Sun ) @ナルハシさん
読了&温かいコメントありがとうございます! >イチャイチャしだすと敬語になる たぶんセリカが恥ずかしくなって敬語でお茶を濁そうとして、エランがそれにノる感じですねw 机を叩いていただけて光栄です。 口に出して遠慮が無いのは性格半分、最初は相手のことがどうでもいい半分でしょうか。どうでもよくなくなると今度は気遣うようになって、出逢って間もない他人だから歩み寄り方がよくわからなくて……はい、結婚してからはきっと遠慮がなくなりますね。 >登場人物の名前が覚えられなかった 馴染みない音の羅列オンパレード…! 長いですしね/(^o^)\ リズミカルな滝神の名前とはまた違った感じでしたね。よくぞ生き延びてくださいました。 完走お疲れさまです! 当面は、ダグラス湖(とツイッター)でお会いしましょう! |
黒赤 あとがき
2017 / 12 / 02 ( Sat ) |
終 - f.
2017 / 12 / 01 ( Fri ) 「おい! この状況で眠れるか、普通。とんでもないな」
起き抜けに呆れた声が耳に入った。セリカは、寝ぼけ眼を瞬かせる。 「どうしたの?」 「どうしたのじゃない。馬の上で寝るな、危ない。何度言えばわかる」 初めて会った時と同様の風変わりな格好をしたエランが、責めるような目で振り返る。筒型の帽子やボタンの多い詰襟の黒いチュニック、半袖の羽織り物。ヌンディーク公国に多少は慣れてきた今だからこそわかる、この服装は特異なものだ。 聞けば、ルシャンフ領の先住民族から贈られたものだという。動きやすくて楽だからと彼は宮殿の外ではこちらを好んで着るらしい。 「だって眠くなるのよ……。いいじゃない、一応つかまってたでしょ」 手首を布で結び合わせるという、保険はかけてあった。セリカは馬の手綱を持ったエランの後ろに乗って、振り落されないようにその腰につかまっていた。 荷物はあまり多くない。後ろを走る荷馬車に必需品を積んである。二人で先行したいと言い出したのはエランで、その為に身を軽くした。 現在、馬は速歩(はやあし)で野を横切っていた。やや遅れて、タバンヌスも続いている。 エランは大げさにため息を吐いた。 「それより、もうすぐ着く。上を見てみろ」 「うえ?」 言われた通りに上空を振り仰ぐ。 時を同じくして、清々しい風が吹き抜けた。春が夏と出会うまでもう少しと言ったところの、暖かい風が袖口を撫でる。 呼吸を奪われた。そう感じるほどの絶景であった。 抜けるような青空を見上げたのは、いつぶりだっただろうか。遠くでは、絹を思わせる柔らかそうな白雲が並んでいる。 「空に落ちたら飲み込まれそう」 自分でも変な感想だと思う。深く息を吸い込んでみると、肺は優しい夏の香りに満たされていった。 「まだ驚くのは早い。下も見てみろ」 セリカは首を戻した。 若葉色の地平線が、群青を受け止める。大草原が視界を占領していった。 際限なく美しい眺めだ。奥に向かってなだらかな丘陵が展開しており、そこまですっきりと見渡せるほどに、平地が広々としている。 後ろを振り返っても同じだった。いつの間にか森が途切れていたのだ。まばらな常緑樹だけが残っている。 進行方向には木という木の姿はほとんどなく、あるのは草花と――白くて丸い人工物。てっぺんだけが尖っている。 「あの円柱、何?」 指を指すと、形は指の爪ほどの大きさもないように見えた。いかに遠くにあるかを実感する。 「移動式住居だ。ルシャンフ領の民は冬は山や谷の近くに定住するが、暖かい間は放牧しながら天幕に寝泊りする」 なるほど目を凝らしてみれば、住居の影に羊が見えた気がした。 「あたしたちも?」 「当然」 「遊牧民って排外的だって聞いたけど」 泊めてもらえるだろうか。近くで天幕を張ることすら嫌がられるのでは、との疑念を込めて指摘する。 「一概にそうとも言えない。まあ私は、受け入れてもらえるまでに色々とやらされたな」 そう言った青年の横顔には、領主の余裕みたいなものが感じられた。果たして領民はどんな人たちなのだろう。 「色々って何よ」 「それは後で話そう。酒でも入れないと、語る気になれない」 「えー。どんだけ恥ずかしい思い出なのよ」 エランは誤魔化すように笑って、取り合わない。馬の走行を調整しているようだ。 「駆けるぞ。ちゃんと掴まってろ」 「うん」 限界までに密着した。首筋と髪に顔を近付けると、もはや慣れつつある香油の匂いがした。夫の、とても安心する匂いだ。 のびやかな風が草花を揺らす。目の前で黄色い蝶が二匹、ひらひらと舞っていた。 掛け声と共に、エランが馬の腹を蹴った。 ――穏やかな昼下がりだった。 そんな世界を、息苦しいほどの速さで駆け抜ける。 景色が勢いよく通り過ぎていった。胸が高鳴る。この手応え、爽快、としか評せない。 ――ああ、ほんとうだ。あたしの知らなかった「自由」がある。 約束がひとつ果たされた。それゆえに、溢れんばかりの幸せに浸る。 これからいくつ約束を繋ぎ、そして果たしていくのか――楽しみだ。 咳き込んだ。空気の流れが速すぎて、肌から熱がさらわれている。余計なことを一切考えられなくなる。余計なことを取り除くと、後には鮮烈な想いが残った。 「エラン! ありがとう! すっごくたのしい!」 叫んだ。唾が少量、風に乗って消えていく。 「よかった! けど、まだこれからだ! セリカを楽しませるのは私の役目で歓びだ!」 わかっている。が、これ以上喋ったら舌を噛みそうだったので、相槌を打つのは断念した。 ――わかってる。あたしたちは二人でひとつの魂だから。 きっと二人でなら、悲しいこと辛いことは分かち合うことができて、そのぶん楽しい遊びは倍楽しくなること、間違いなしである。 面白そうだ。面白い人生に、これからなりそうだ――。 <了> ちょっとこれからホットヨガ行くのであとがきはまた後ほどにw |
終 - e.
2017 / 11 / 30 ( Thu ) ここまで来ていまさら回れ右したい人がいるかは謎ですがw
それなりにいちゃつきます。苦手な方はご注意ください。 「任せなさい」 嫌なことがある分だけ、優しくしてあげよう。半年ばかり年下の夫を見下ろして、そう決意する。 当人は気持ちよさそうに目を閉じている。 (幸せそうな顔しちゃって、もう) ――満たされる。 この感覚は何だろうとセリカは不思議に思った。胸が膨らんだようだ。誰かが嬉しそうにしているのを、こうも感化されて喜んだのは初めてだ。 「なら私は、お前に何をしてやればいい」 「え。元気にしてくれれば、十分だけど」 「それ以外で頼む。もっと欲を出せ」 「だってねえ……遊び相手になって、はもう言ったし、構って、も言ったわよ。対等に接してくださいとか? あ」 エランはぐりっと首を巡らせてこちらを見上げた。変な感じがした。できればあまり動かないでほしい。 窮屈だったのかなと思って、手を放す。 「笛、また聞かせてほしいな」 「わかった。約束する。今は取り込んでいて無理だが」 むくりと彼は上体を起こした。 別に今じゃなくても、と言いかけたところでふいに唇を塞がれた。 (この男! 取り込んでるって、そういう意味) 脳内で悪態をつけたのはそこまでだ。瞼を下ろすと気分が良かった。たとえるなら、まろやかなぬるま湯に浸かっている風だ。 もっとこうしていたい。ところが、ほどなくして温もりが口元から離れた。名残惜しそうに目で追うと、今度は頬に、耳に、首筋に、肩に、胸元に、口付けが落とされる。 「……や」 触れられた箇所が火照る。何かにしがみついていたかった。エランの左上腕を掴むと、ただでさえ緩かったローブがずれて、肩が露になる。色素の濃い点があった。 セリカは謎の衝動に駆られて、はむっと唇を付けた。ぱくついて、世にいう甘噛みに転じる。なんとも満足のいく歯ごたえであった。 青灰色の瞳が自身の肩口に向かった。エランは特に何も言わないし、止めない。 「あんたこんなとこにほくろあったんだね」 気が済んだら、放してやった。 「お前は顔に小さいのが結構あるな」 「鼻の横とか頬骨の周りにいくつかね。みっともないから白粉で隠してなさいってお母さんは言うんだけど」 「そうか? 味があって、私は好きだな」 好きと言われるとそわそわする。セリカは目線を逸らして自身の髪をひと房、指に巻いた。 「ありがと。隠すと言えばこの髪、この国では一生隠して過ごすのかぁ。自慢の赤なのにな」 エランは答える代わりに髪に顔を近付けた。ジャリ、と微かな音がする。 「こら。食べ物じゃないわよ。そりゃああんたは、さくらんぼみたいな色だって最初に言ったけど」 「……独り占めできるから、私はこれでいい」 見上げる瞳は湿っぽく煌く。客観的にではなく主観的に見て、色っぽい。奥深くまで揺さぶられるような錯覚がした。 「そ、そう言われると、うわあ。ドキドキする。独り占めかあ」 「事実だろう」 「何よ、勝ち誇ってんじゃないわ。あんたがあたしを独り占めできるんなら、あたしだってエランを独り占めするんだからね」 言ってから、張り合うところだっただろうかと首を傾げる。恥ずかしいことを口走っている自覚はあったが、もう言ってしまったものは仕方がない。 それに――楽しそうに口角を吊り上げる彼を見てしまっては、前言を撤回する気になれないのであった。 「そうか。そういうことなら、もっとナカヨクしませんか」 「うん、する。……してください」 でもどうすればいいかわからないんですけど、とセリカが囁く。 彼は面食らったように一拍を置いた。 「力を抜いて、好きにしてればいい」 ――適当すぎる。 むくれようとして、ふと手の中の布に注目する。視線を落として、青年の、結び目がほどけかかっている帯を目に入れた。 するりと手を下へ滑らせる。 「じゃあこれ、脱がせますね」 問いながらも手は帯を解いていた。 「お願いします」 答え、エランは距離を縮める。 次なる接吻はより熱く、激しく、そして深かった。息をつく暇がない。つかせたくも、ない。 お互いの柔らかい部分が交われば交わるほど、脳が蕩けるようだ。 痛苦も、快楽も、困惑も、幸福も。共に過ごす全てが特別な渦を成して――夜は更けていった。 _______ |
終 - d.
2017 / 11 / 30 ( Thu ) 「セリカ。ふてくされてないでこっち向け。私が黙って別の部屋で寝るとでも思ったか?」
「ふてくされてない! ほっといてよ」 枕を下から両手で握り、顔を深く埋めた。 「構えと言ったり放っておけと言ったり、忙しいな」 「みゃっ」 腕を掴まれたのだが、指の触れた位置が脇の下に近くて、くすぐったい。足をバタバタさせると、布のようなものに当たって、動きを制限された。 力づくで裏返される。 仕返しがてら、砂色の衣を脇腹辺りを狙って鷲掴みにした。堪えたような笑い声が返る。目線を上げて、ハッとなった。 近い。覆い被さる体勢で見下ろされている。石鹸とタバコの匂いに酔いそうだ。 (わ、わ。視界いっぱいにエランだ) 男に強引に組み敷かれているのに拒否感が全くなくて、むしろ嬉しいくらいで、そう感じる自分に戸惑う。 こういうのを「目のやり場がない」と言うのか。内着がはだけて、左肩が布の下からのぞいている。首都を逃れた時や川で水浴びをした時にも目にした肌だ。着やせする方なのだろう、じっくり観察すると、筋肉の盛り上がりや筋がきれいだと思った。 目のやり場がないというよりもこれは、眺めたい、気がする。 (さわってみたいな) 触る口実が欲しい。首筋や鎖骨を、指の腹でなぞってみたい。だが首を触らせてもらえるような口実とは一体何なのか。 ふと、青い涙型の耳飾が目にちらついたため、気が逸れた。 付けたままお風呂入ったの? と訊ねると、外すのを忘れてた、と彼が答えた。セリカは手を伸ばして留め具を外した。ラピスマトリクスの耳飾を、そっと寝台横の家具にのせる。 「案外軽いのね。宝石」 「重かったら左右で耳の長さが変わってくるからな」 そう返されて、噴き出した。 「ごめんごめん……想像したら可笑しくて」 ほーう、とエランは目を細める。右手を動かしたのかと思えば、セリカの耳たぶを引っ張った。 「いたっ! ちょ、伸びる伸びる」 足をばたつかせるも、抑え込まれていて思うように動かせない。かたい。うっかり蹴った太ももの触感も、拘束も。 「伸ばそうとしているからな。片方だけ」 じゃれる程度の力で、実際伸びる心配は無いと思うが。面白がって覗き込む顔に向けて、セリカは歯の間から威嚇音を出す。 お前は蛇か。彼がくつくつと喉を鳴らして笑った時、また少し距離が縮んだ。 セリカは抵抗を止めて、目の前の青年を改めて見上げた。 目の前にそれがあったから、手を伸ばした。訊き出す勇気をついに持てたというよりも、弾みだった。 「これ、お母さんがやったって」 盛り上がった皮膚に指先が掠る。青年は身を引いて、表情を曇らせる。 「聞いたのか」 「聞いたっていうか聞かされたっていうか…………ごめんなさい」 「いや……いつかは話すつもりだった。気分のいい話じゃないが、聞くか?」 セリカは力強く頷いた。 それから彼は簡潔にあらましを語った。異国人であった母親が、世継ぎを産むのに執着していたこと。だというのに、第一子の後に何度も子が流れたこと。 「……女は子孫を精製する機械じゃないわ」 「さあ。人は男女等しくみな己の役割を探し求め、得て、全うしようと生きている。母は、それでしか居場所が得られないと思ったのだろう」 深いため息をついて、エランは話を続ける。 「せめて私が大公に気に入られていれば違ったかもしれないが、この通り、外見も内面もほとんど似なかった。三度目の流産を経て情緒不安定になっていた母は、周りに突然当たり散らすことも多くなった。煙たがられて、親子揃って軟禁されたのが六年前。その折にハティルが生まれたとの報せが宮中に流れて、何かが壊れたというわけだ。六歳だった私にそこまで母の心境に気が回るはずがなく、ある時普通に構って欲しくて近付いたら……癇癪を起こされた。たまたまその場に果物ナイフがあった」 ――ナイフは誰かの不注意か、思惑か。 結局答えが出ることはなかったし、本気で調査してもらえたわけでもない、と彼は言う。 狂人のレッテルを貼られた妃はそれからも隔離され続けたが、その後は緩やかに衰弱していった。意識は薄れ、我が子の顔も忘れ、侍女のヤチマ以外の誰かとまともに言葉を交わすこともなくなった。 そうしてある夜。彼女は誰にも見咎められることなく部屋を抜け出て、静かに逝った。おそらく事故だった。ヤチマは己を責めて自害を試みたが、お前のせいではないと、エランは繰り返し言い聞かせて宥めたという。 「…………」 セリカはしばらく二の句が継げずにいた。確かに、気分の良い話ではない。 胸の奥がむかむかする。怒りをぶつけたい相手が多々いたが、何より腹が立つのは―― 首の後ろに両手を巻き付ける。力いっぱいエランの頭を抱き寄せて、胸に沈めてやった。 「わかってると思うけど。あんたは何も悪くない。お母さんが追い詰められたのは環境のせいで、元々そういう傾向があったとは限らないし。だからあんたが周りに疎まれてるのって、理不尽以外のなにものでもないわ」 母親に顔を忘れられたのも、彼のせいではないのだ。セリカはこれでもかと手に力を込める。 胸元を温める息遣いは、僅かに乱れていた。 「めいっぱい愛情を注ぐからね。寂れた子供時代なんかあたしが忘れさせてあげる。だから、そんな泣きそうな顔しないで」 「そうしてもらえると、助かる」 |